思考の流れは、まるで水のように——過去さえも変えられる視点の力
私たちの思考パターンがなぜ変わらないのか。
前回の記事では、「思考は無意識から生まれ、その無意識は五感による情報と感情から形成される」ことをお話ししました。
今回は、それを「水の流れ」に例えて考えてみたいと思います。
水の流れと思考のしくみ
砂地に水を流すとどうなるでしょうか。
水は低い場所を見つけて流れ、水たまりを作り、やがて川になります。
一度できた川の流れは、次第に太く、強く、広がっていきます。
思考パターンも同じです。
赤ちゃんの頃は、まだ川も流れもない状態。
しかし、周囲の大人たちの言葉、表情、ふるまい——
そういった「凹凸」が、地形を作り始めます。
そこに五感からの情報という“雨”が降り注ぎ、
凹凸に水がたまり、つながり、やがて意識が生まれる。
意識によって、快・不快を感じ取り、
水は流れやすいほう、つまり「自分が安心できる場所」へと向かいます。
流れやすさ=慣れた快、不慣れな不快
この流れは、必ずしも「正しい方向」ではありません。
過去にたまたま不快だった出来事や、幼少期の小さなアクシデントが、
大きな「避けるべき方向」として記憶されることもあります。
すると、意識はその場所に近寄ろうとしなくなり、
水は同じルートばかりを流れるようになります。
そしてそれが、“いつも同じ行動を繰り返してしまう”理由となるのです。
過去は変えられない。でも、想いは変えられる
よく「過去は変えられない」と言われます。
確かに、起こった事実そのものは変わりません。
しかし、その“捉え方”や“想い”は変えることができるのです。
たとえば、井戸の水は夏も冬も同じ温度。
でも冬には「暖かく」、夏には「冷たく」感じます。
物理的には一定でも、五感の受け取り方は変わるのです。
そして、五感による感じ方こそが、無意識を作り、
意識を形づくり、現実をどう捉えるか——つまり「想い」へとつながります。
現実は「想い」の投影
現実とは、「想い」を象ったもの。
つまり、今目の前にある現実すらも、自分の内側が映し出しているものなのです。
過去の出来事さえも、「見方」を変えるだけで、
まったく別の意味を持つものに変わっていくのです。
水の流れを変えるには——視点を変える「ジャイロ」の再調整
ここで出てくるのが「ジャイロ」という考え方。
スマホやドローンなどがバランスを保つために使うジャイロセンサーのように、
私たちの思考にも“見えないバランス感覚”があります。
このジャイロが狂ったままだと、
正しい方向を見ているつもりでも、実はズレているかもしれません。
つまり、視点(ジャイロ)を再調整することで、
一度できた“水の流れ=思考パターン”も変えることができるのです。
おわりに
自分の思考の流れを客観的に見つめ、
その川がどうやって出来たのかを知る。
そして、視点を変えることで新しい流れを作り出す。
それは簡単なことではありませんが、
少しずつでも変えていくことは、確かに可能なのです。